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クラウンが生産中止?—その背景と未来を考察—

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こんにちは。Kabaoです。昨日(11月11日)、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

2020年11月11日早朝、中日新聞から衝撃のニュースが飛び込みました。トヨタ「クラウン」が現行モデルをもって生産中止となり、2022年からSUVスタイルの新モデルとして生まれ変わるというのです。

(『くるまのニュース』”衝撃!トヨタ「クラウン生産中止」報道、クラウンが抱える悩み…その背景に「日本向けセダン」” https://kuruma-news.jp/post/314847 より引用)

言わずと知れたトヨタ伝統の高級セダンである「クラウン」が、次期モデルの登場を境に既存のセダンタイプを廃止し、SUVの車体を用いて開発されるというのです。

同記事では、現行型「クラウン」の販売台数に曇りが見えていることを指摘し、その理由として従来より需要の多かった法人ユーザーが、より居住性に優れた「アルファード」などの高級ミニバンに移行していることを挙げています。

…歴史ある車種だけにこのニュースは個人的にはとても残念です。やはりクラウンといえばセダンタイプの車種の代表格というイメージが強いので。

今回の記事ではクラウンという車種が衰退してしまった原因を考え、今後クラウンがどうなっていくのか、そしてセダンという車種の未来について考えていきたいと思います。

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クラウンの栄光と現状

クラウンという車種がセダンタイプとしての生産中止を検討するまでに至ってしまった理由を考える前に、このクルマの伝統と現状をまとめます。

1955年に登場し、65年の歴史を持つクラウンは国産車としても非常に長い歴史をもつモデルです。初代から現在の15代目に至るまで、高級車として不動の地位を保っています。

現在に至るまで累計500万台以上が販売され、特にバブル景気に湧いた1980年代後半から90年代初頭にかけては、年間販売台数20万台前後をコンスタントに売り上げるなど非常に人気のあるモデルでした。

しかし、2019年の年間販売台数は約36,000台と、減少が顕著になっています。

従来のクラウンの需要

長い間人気車種として支持を得ていたクラウンですが、どのようなユーザーによって支持を得ているのでしょうか。

ユーザーを大別すると、「個人ユーザー」、「法人ユーザー」に分けることができます。

個人ユーザーにとっては、クラウンは憧れの対象でした。「いつかはクラウン」という言葉が象徴的ですが、サラリーマンとして一生懸命働き、クラウンを手にすることは昭和世代の男性にとってはステータスだったのです。

法人の社用車や官公庁の公用車としても、クラウンの持つフォーマルなイメージや絶大な信頼性から広く支持されています。また、タクシーとしての人気も絶大で、後席にゲストを乗せるクルマとしての信頼は他のクルマにはかなわないでしょう。タクシー専用車の「クラウンコンフォート」は数年前に生産中止になり、「JPNタクシー」に世代交代されていますが、未だに個人タクシーはクラウンが圧倒的に多く走っています。

進む「クラウン離れ」

以上のように絶大な支持を得ていたクラウンですが、近年その様子に変異が見られるようになりました。様々な理由から、クラウンを選択しないユーザーが増えているのです。

個人ユーザーの事情

今までクラウンを支持していた個人ユーザーが他の車種に移行する傾向が大きくなっていそうです。

まず個人ユーザーの場合、主として「利便性重視」、「スタイル重視」という理由からクラウンから他車へ移行する傾向があると言えます。

「利便性重視」をするユーザーは、より乗降性や居住性に優れたミニバンや、環境性能や取り回しに優れるエコカーやコンパクトカーへの移行が起こっているといえます。特に近年は、「ダウンサイジング」の流れが進み、それを後押しするように軽自動車やコンパクトカーの質感も向上しています。社会的に価値観も変化し、クラウンのようなわかりやすい高級車がもてはやされることが無くなったこともその原因として挙げられるでしょう。

「スタイル重視」のユーザーは、近年ますます流行しているSUVや、同じく近年選択肢の増えている輸入車への移行が起こっているでしょう。SUVの人気は絶大で、そこに追い風を吹かせるように各社がラインナップを拡充させています。また、輸入車についても従来より求めやすいモデルが増え、さらには残価設定ローンなどの新しい買い方も登場し、国産車と比較対象になりうるほどに手の届く存在となっており、積極的に輸入車を選ぶユーザーは増加しています。

法人ユーザーの事情

法人ユーザーの場合も、個人ユーザーの事情と似たような事情でクラウン離れが進んでいます。

法人需要は、「タクシー需要」、「社用車、公用車需要」の2つに区分することができます。

まずタクシーにおいては、先ほども述べましたが既にタクシー専用車のクラウンコンフォートは生産終了しており、スライドドアを備え、車高の高い「JPNタクシー」が普及しつつあります。また、JPNタクシーだけでなく法人、個人タクシーを問わずミニバンをタクシーとして採用する業者も増えています。(余談ですが私の地元では三菱デリカD5の個人タクシーが営業されています)

次に社用車、公用車においては高級ミニバンやレクサス車への移行が起こっています。特にアルファードの人気は絶大で、少し前まではミニバンといえば貨物車の延長というようなイメージでしたが現在ではアルファードはれっきとした高級車として認知されるほどに成長しています。

「クラウン離れ」最大の要因

個人ユーザー、法人ユーザーの両方で起こっている「クラウン離れ」ですが、この最大の要因は「ミニバンの普及により”快適なクルマ”の価値観が変化した」ことであると指摘できるでしょう。

ミニバンでは、スライドドアは狭い場所でも乗降が可能で、高い全高により姿勢を大きく屈めることなく車内にアクセスすることができます。室内空間も広く、居住性という面ではセダンに対し圧倒的なアドバンテージを誇ります。

ここ十数年のうちにミニバンは一気に普及し、ラインナップも拡充されています。従来のミニバンといえば、どこか商用車的な雰囲気が漂っていましたが、アルファードなどの大型ミニバンはもはや高級車として十分な質感、乗り心地を実現しています。ステータス性も申し分なくなっているのです。

現行型クラウンが提案した打開策

人気低迷に歯止めをかけるべく、2018年から販売されている現行型クラウンでは様々な改革を行っています。

クラウンの抱える最大の悩みは、「ユーザーの高齢化」でしょう。従来モデルのオーナーの平均年齢は70歳以上と言われており、モデル継続のためには若い世代への追求が必須です。

そこで現行モデルでは、従来のイメージを打破すべく、「ロイヤルサルーン」、「アスリート」、「マジェスタ」というラインナップを「クラウン」に一本化し、スポーティーな外観を持たせました。

一見クーペかと思わせるような、曲線的なボディラインで個人ユーザーの新規獲得を目指しています。

しかしながら、現在の販売台数の状況は、最新のデータである2020年9月で2,050台と、先代モデルの末期である2017年9月の2,357台をも下回っている状況です。現行モデルで行ったイメージ改革は、残念ながら上手くいっているとは言い難い状況です。

ひとまずの総括、クラウン衰退の要因とは

ここまで、クラウンの人気が衰えてしまった要因についてを考察してきました。ここで一旦それをまとめてみます。

クラウン衰退の最大の要因は、「クラウンでないといけない理由」が薄れたことだと思います。

今までは、高級車といえばクラウンという価値観がありましたが、車種もボディタイプも多様化したいま、高級車という括りの中だけでも様々なクルマが存在しています。また、「高級ミニバン」という新たなジャンルも成立し、従来のセダンの持つネガを解消した新たな高級車も生まれてきています。

同時に、セダンの人気低迷も要因の一つとして挙げられるでしょう。クルマのスタンダードはもはやSUVへ移行しつつあると言っても過言ではない現状において、基本的に国内でしか販売しないセダンであるクラウンの未来が決して明るいものではないということは残念ながら紛れもない事実でしょう。

クラウンの今後

さて、ここまでクラウンのセダンタイプとしての生産中止報道を受け、このような報道が起こった要因についてを考えてみました。

ここでは、クラウンというクルマが今後どのような道を歩むのかについて考えてみたいと思います。

個人的には、報道にある通りクラウンのSUV化は大いにあり得ると思います。

セダンのイメージがどうしても強いクラウンですが、実はかつてはクーペやステーションワゴンが設定されていたこともありました。

ただしこの場合はあくまでセダンの派生車種としてラインナップされていたので、今回のSUV化とは状況が全く異なるのですが、セダン以外のクラウンが存在していたことはあるのです。

しかし改めて、セダンのクラウンが消滅の危機にあるということは深刻な事態と言えるでしょう。

まさに「クラウン」という伝統ある車名どうにかして存続させるべく、苦渋の決断が検討されているところなのでしょう。

クルマ好きとしては、純粋に走りを楽しめるFRセダンがまた一つ消滅の危機にあることは純粋に残念です。

日本のセダンのこれから

最後に、今後日本のセダンがどのように歩んでいくのかについて、トヨタ車を中心に考えていきたいと思います。

まずFRのセダンモデルは、車種を限定して設定されるのかと思います。

その中でも、注目したいのが新型「ミライ」です。まもなく登場予定の新型ミライは、FRレイアウトを採用して登場します。ボディサイズも現行クラウンよりも大きい予定で、センチュリーを除けばトヨタ車のフラッグシップモデルとなる見込みです。クラウンがSUV化するとなると、ミライは実質的な後継車ともいえる立ち位置になるのではないでしょうか。

現時点でもマークXが生産終了になっており、ミドルサイズのセダンはグローバルでも人気を集めるカムリとレクサスESに絞って販売されることになりそうです。国内専売車は、今後減少を続けていくことが推測されます。

しかしながら、国産セダンにも僅かながら希望の光となり得る情報もあります。それは、マツダから直列6気筒エンジンを搭載し、FRレイアウトを採用した新型車の導入が予定されています。

おわりに

今回は非常に残念なニュースをお伝えすることになってしまいました。とはいえ、現状を考えるといつかは起こり得る仕方のないことなのかもしれません。

これからも状況を見守りつつ、情報が入り次第アップデートしてお伝えできればと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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